建設業許可法人の事業承継対策

建設業許可法人の事業承継対策

建設業許可法人の事業承継対策

面談

最近では、事業承継の話題を耳にすることが多くなっています。特に中小事業者がほとんどの建設業会でも、この問題は避けることのできないことと思います。
特に建設業許可の受けている会社さんは、この事業承継において許可要件を満たすよう承継しないと許可を失うことにもなりかねません。
では、建設業許可の要件を満たすべく、うまく事業承継するポイントを確認しましょう。


建設業許可要件を満たす事業承継のポイント

建設業許可を失うことなく、うまく事業承継をするポイントは、「許可要件の人的要件」を満たすことです。
許可要件の人的要件とは、

  • 「経営業務の管理責任者」の確保
  • 「専任技術者」の確保

多くに会社さんは、社長さんが「経営業務の管理責任者」兼「専任技術者」です。その社長さんが会社から抜けられると許可要件をまったく満たさなくなります。
満たさなくなると許可を失うことになり、最悪会社運営ができなくなり、廃業・倒産になってしますリスクが発生します。
そのことを考慮せず、子供に社長を譲るまたは第三者に譲って許可変更の届出をして問題になるケースが多く見られます。
そのようにならないためにも、事業承継する5〜10年前から対策が必要です。

承継対策@(経営業務の管理責任者編)

もし社長さんが許可上の「経営業務の管理責任者」であるなら、事業承継のうえで「経営業務の管理責任者」を確保しなければいけません。
例え社長さんが「相談役」として会社に籍を残すとしても、常勤性を満たさない恐れがあり、許可を失うかもしれません。

 

「経営業務の管理責任者」についての事業承継対策
  1. 「経営業務の管理責任者」になる予定のものを事前にその会社の役員等(取締役、執行役)にする。
  2. 「経営業務の管理責任者」になる予定のもに建設工事の請負契約などを締結することが出来る等の一定の権限を与える。

建設業許可の「経営業務の管理責任者」になるための要件は、「」をご覧ください。

 

@に対する実務的な対策

  • 「経営業務の管理責任者」になる予定のものを役員にした場合、その旨の役員変更登記を行うこと。

 

Aに対する実務的な対策

  • 一定の権限を与えた取締役会議事録(取締役の決定書)の作成及び保管。
  • 会社組織図、権限を与えた辞令など保管。
  • そのもの(「経営業務の管理責任者」の予定者)が締結した請負契約書の保管。

 

「経営業務の管理責任者」になる予定のものは、会社の役員等なら5年以上の就任期間または権限を与えられた期間なら6年以上が必要です。よって、事業継承を考えるなら少なくとも、7〜8年前からの対策が必要です。

 

 

 

事業承継対策A(専任技術者編)

もし社長さんが許可上の「専任技術者」であるなら、事業承継のうえで「選任技術者」を確保しなければいけません。
例え社長さんが「相談役」として会社に籍を残すとしても、常勤性を満たさない恐れがあり、許可を失うかもしれません。

 

「専任技術者者」についての事業承継対策
  1. 新たな「専任技術者」となるべきものの雇用。
  2. 次期社長さん自らが「専任技術者」になる。
  3. 会社内のものが「専任技術者」となる。

 

@に対する事務的な手続
新たに「専任技術者」になるものの社会保険の加入手続き及び資格を有することの証明書の確保。この場合、人件費の増額リスク及びそのものが退社した場合に要件を満たさなくなるリスクがあります。また、昨今の人手不足により要件に合うものを確保できないリスクもあります。

 

Aに対する事務的な手続
次期社長さんの資格を有する証明書の確保若しくは実務経験の証明書。(一定の期間に締結した請負契約書の確保またはその法人の建設業許可証の写し)このケースが一般的であり、リスクが最も少ないと思います。ただし、資格を有していない場合(実務経験の場合)最大10年以上前からの対策が必要です。(請負契約書の保存、実務経験の記録の保存、建設業許可証の保存)

 

Bに対する事務的な手続
社内の「専任技術者」の予定者の社会保険加入(未加入の場合)及び資格を有することの証明書の確保。この場合もAと同じく実務経験の場合同じ対策が必要です。

まとめ

建設業許可を受けている会社さんは、早めに事業承継の対策を取ることが必要です。建設業許可の人的要件は、すぐに要件を満たす人材を確保することが非常に難しいです。
少なくとも5〜10年くらい前からの対応が必要です。
公共工事等をメインに事業展開している会社さんは、建設業許可を失うことは事業展開が出来ないに等しいぐらいの問題です。早めの対応、専門家への相談をお勧めします。

建設業許可法人の事業承継対策
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