特定建設業許可を取りたい方に
建設業許可は、2つの区分に分かれます。ほとんどの建設業を営んでいる方は、一般建設業許可を取っています。
請負金額が500万円以上の建設工事を請け負うには、一般建設業許可を必要です。
しかし、元請として建設工事を請け負う場合、請負金額によっては、特定建設業許可を取らなければ、工事を請け負うことが出来ない場合があります。
では、特定建設業許可を取る場合、どんな条件が必要なのでしょうか。
今回は、一般建設業許可を取っている方が、特定建設業許可を取ろうとする場合、どの様な手続き(要件)が必要が確認しましょう。
特定建設業許可に必要な要件@(経営業務管理責任者要件)
特定建設業許可も一般建設業許可と同じように、経営を管理する者、つまり経営業務管理責任者は必要です。
では、経営業務管理責任者の要件について一般建設業許可の要件と違うところはどんなことでしょうか。
経営業務管理責任者要件について、特定建設業許可であろうが、一般建設業許可であろうが違いはありません。
よって、一般建設業許可を既にとっている方は、特定建設業許可を取ろうとした場合でも、特別な書類の用意や手続きは必要有りません。
ただし、1業種のみの建設業許可を取っている方が(例えば、土木工事業のみの建設業許可の場合)、既に取っている建設業許可の業種以外の業種の特定建設業許可を取ろうとする場合は、経営業務管理責任者の経験年数(経営を総合的に管理した経験)が6年以上必要です。
特定建設業許可に必要な要件A(専任技術者要件)
次に専任技術者についてはどうでしょう?
専任技術者になるためには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- 要件を満たす国家資格を有すること
- 一定の実務経験があることを証明すること
それぞれの要件により特定建設業許可の専任技術者になる場合、注意しなければいけないことがあります。
国家資格を有することにより専任技術者となる場合
国家資格を有することにより専任技術者になろうとする場合、一般建設業許可の専任技術者の要件を満たす国家資格でも必ずしも特定建設業許可の専任技術者にはなれません。
では、どんな国家資格では特定建設業許可の専任技術者になれないのでしょうか。
2級国家資格では、資格のみで専任技術者になれない。
国家資格には、1級、2級と分かれている国家資格があります。(例えば、1級土木施工管理技士と2級土木施工管理技士、1級建築士と2級建築士等)この場合、1級の国家資格では、資格を有することのみで専任技術者になることが出来ます。
2級の国家資格を有する場合では、一定の実務経験の証明が必要となってきます。よって、一般建設業許可の専任技術者と違い、2級の国家資格では実務経験を証明することを考慮しておくことが必要です。
一般建設業許可の専任技術者になれる国家資格でも特定建設業許可の専任技術者なれない国家資格がある。
一般建設業許可の専任技術者になれる国家資格でも、特定建設業許可の専任技術者になる場合、国家資格と実務経験証明が必要な資格があることは説明しました。
しかし、一般建設業許可の専任技術者なれる国家資格でも、特定建設業許可の専任技術者なれない資格があるので注意が必要です。例えば以下のような国家資格です。
- 第一種電気工事士
- 第二種電気工事士
- 電気主任技術者 等
一般建設業許可の専任技術者になれる国家資格を有していても、実務経験の証明を求められたり、最悪資格があってもなれないケースがあるので。
実務経験の証明により専任技術者になる場合
実務経験の証明をして、専任技術者となった場合、特定建設業許可の専任技術者になるためには、更に実務経験の証明が必要です。
しかし、単に許可を受けようとする業種の建設工事経験では足りません。実務経験となる工事は、「発注者から直接請け負い(元請工事でなければダメ)、請負代金が4,500万円以上の工事」でなければ特定建設業許可の専任技術者になるための実務経験として認められません。
よって、証明すべき実務経験のハードルが非常に高くなっています。
財産的基礎に必要な要件?(金銭的信用要件)
特定建設業許可が必要な工事は、請け負う金額も大きい工事となります。そうなると当然、責任も重くなります。請負工事が完成する途中で工事遂行が出来ない状態になっては、多くの方に迷惑が掛かります。
大きな工事を間違いなく遂行する財産的基礎、金銭的信用が必要です。よって、次のような要件を求められます。
要件1 資本金は2,000万円以上かつ自己資本が4000万円以上
一般建設業許可では、資本金制限はありません。500万円以上の資金を調達できる能力があれば問題ありません。(例えば、預貯金残高500万円以上、自己資本が500万円以上など)
しかし、特定建設業許可では資本金が2000万円以上、かつ自己資本4000万円以上を求められます。
自己資本とは、資本金に資本剰余金、利益準備金等を合わせた金額と考えてもらえば。
この自己資本が4000万円以上を求められます。
欠損額が資本金の20%以下
欠損額とは何でしょう。まず、ご自身の決算書の貸借対照表をご覧ください。その中の純資産の部(負債の部の下の欄)に注目して下さい。
その中の繰越利益剰余金(これまでの会社が頑張った利益の蓄積)がマイナスの場合、欠損額がある可能性があります。
しかし、資本剰余金、利益準備金、その他利益剰余金の合計額で繰越利益剰余金のマイナス部分を補うことが出来れば欠損額がありません。
補うことが出来ない場合は、残念ながら欠損額があります。
ただし、ただ欠損額があるだけで特定建設業許可を取ることが出来ないわけではありません。この欠損額が、資本金の20%以下(5分の1以下)なら特定建設業許可の要件を満たします。
流動資産と流動負債の比率が75%以上であること
分かりにくいと思いますが、分かりやすく説明すると、支払手形、工事未払金(買掛金)、短期借入金等(流動負債)の合計の75%以上の金額の現金預金、受取手形、完成工事未収入金(売掛金)等(流動資産)があれば、要件を満たします。ご自身の決算書の貸借対照表をご覧頂き、それらの合計(流動資産と流動負債)を確認しましょう。
尚、すべての要件を満たすか判断する資料が、直近の決算書を参考にします。
まとめ
特定建設業許可を取るために要件は以下の通り
- 経営業務管理責任者の要件
- 専任技術者の要件
- 財産的基礎、金銭時信用の要件
どれが欠けても特定建設業許可は取れません。
これから元請工事を多く受注する予定がある、または受注したいと考えている方、特定建設業許可を取りましょう。